日産自動車株式会社を退職しました!
2019年2月28日に25ヶ月勤めた日産自動車株式会社を退職しました。2月22日が最終出社日で、短い有給消化を経て3月1日より都内のAI系ベンチャー勤務です。。
辞めたが、それでも日産自動車株式会社をおすすめしたい
日産自動車というよりは、僕がいた部署、コネクティッドカーのアプリやサーバサイドを作っている部署では、絶賛人員募集中です。
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以下では、なぜ僕が日産に入って、日産で何をやって、なぜ日産を辞めたのかということについて書く。
なぜ日産に入ったのか
クビカリ! バキューン。ある日なんとかっていうヘッドハンティング会社から「日産自動車っていう会社が……」という非常に怪しい求人を持ってきた。「おっ、日産。家から近いし話だけでも聞きに行ったろ」くらいの感じで話を聞きに行ったら、これが思いの外面白そうだった。というのが2016年の暮れ。
当時、コネクティッドカー&コネクティッドサービスの部署を新規で作るという話があり、その立ち上げメンバーの募集をしているという話だった。コネクティッドカーというのは自動車がインターネットに常時接続されており、スマホなんかで車の状況を把握したり、なんかいろいろ便利にできる仕組みのことだ。最近ではTOYOTAのクラウンなんかがコネクティッド推しではあるが、日産では電気自動車のLEAFが、なんと発売当初の2010年からすでにインターネットに繋がっており、スマホアプリなんかが用意されていたというから、技術の日産侮れない。
しかし、世の中の誰も、「2010年当時から日産・LEAFはコネクティッドカーだった」なんて知らないのはなぜか。
これは僕の推測(と日産にいたことによる肌感覚)なのだが、昔強烈に頭のいい人がいて「車もインターネットに繋いだら便利!」みたいなことを言い出して、ベンダーを使ってもりもり作らせたはいいものの、クルマの会社はベンダーに作らせることしか知らないので、その後サービスを育てるであるだとか、ユーザの使い方を見て改善するといったような考え方がなかったのだろう。事実、僕たちの部署ができるまで、LEAFのアプリはひどいUI/UXのまま放置され続けていて、2018年僕たちの部署によってリニューアルが行われ、きれいでモダンなUI/UXの素敵なアプリに生まれ変わった。そして今も継続して進化している。
話がそれた。とにかく、そのように外注を使ってやってはみたものの、うまく行かなかった。そのため、コネクティッド分野で他社の後塵を拝することとなり、今までのやり方ではだめだ。ということになった(らしい)。そこで、コネクディットに関わる新しい部署を作り、アジャイルで、内製で、カーセントリックな考え方からヒューマンセントリックな考え方に移行し、素晴らしいモビリティ&コネクティッドサービスを作るぞ! という目的でぶちたてられたのが僕のいた部署で、そんなん、完全に面白いやん?
というわけで入社した。
その前の職も十分面白かったのだけれども、クルマは自動車会社じゃないと作れないという点は、転職を決断した理由として本当に大きくて、いまモビリティサービス分野に進出する企業はすごく多いけれども、そのどの会社に行っても、実際のクルマは作れない。ここは本当に日産という会社に行くべき理由だと強く思いました。
んで、何をやってたか
Node.jsが得意なこともあって、Alexa関連のあれこれをメインでやり続けた2年間でした。最初はPoC的に英語版のAlexaをいじっていろいろやっていたのですが、タイミングよく日本語版アレクサの日本ローンチパートナーとしてリーフスキルをリリースすることができました。その後も細かい改良を重ね、EchoSpotの日本発売時のローンチパートナーとなり、EchoShowもローンチパートナーとなることができました。
www.slideshare.net
まぁ、ぶっちゃけテレビCMって最高の福利厚生ですよね!!
他にも、Easy Rideという日産とDeNAが共同で実証実験をしている自動運転車両を用いたロボタクシーサービスの運用を一部お手伝いしたりしていました。
他の人がやらないことを拾い続けていたら、他の人がやらない仕事ばかりをやることになり、引き継ぎ先がなかなかできずに大変ではありました。
なんで辞めるのか
ポジティブな理由
長く務めるつもりではいたのですが、ご縁があり、転職を決意しました。
ネガティブな理由
日産で頑張ってこれたのは「ああ、このままだとこの会社はだめだ。変えていかなくては」という強い思いがあったからです。
正直、日産に転職するまで『完成車メーカー』という言葉の意味を一ミリも理解していませんでした。
日産のような完成車メーカーは、重要な一部の機能を除き、部品はすべて外注し、それを組み立てて世の中にリリースするというビジネスです。以前バズった新卒で入社した本田技術研究所をたった3年で退職しました - チャレンジして失敗を恐れるよりも、 何もしないことを恐れろ。 というブログポストがありましたが、だいたいこの通りです。
このブログポストに関して、僕はネガティブな意見もポジティブな意見もありません。確かにコスト削減や部材の安定供給などの観点からサプライヤーに投げ、納品されたものを組み立てて売るというのは理にかなっています。
さて、僕がいた部署は「内製」で「アジャイル」に開発する部署なのですが、クルマの本体を作っている部署から見ると「実際にものを作っている部署はサプライヤー」と行った見方が異常に強いです。僕たちのように内製で手を動かす部隊が会社の中にいる理由は、顧客に継続して価値を届け続けることが必要で、それを実現するためという点です。僕たちは決してサプライヤーではなく、積極的にビジネスをドライブする存在であるはずです。クルマを作って、売って、終了。というビジネスしか知らない人たちとの、こういった軋轢がありました。
他にもネガティブな理由はいろいろあるのですが、書けないことが多いのでコレ以上は('x')お酒でも入ったときに聞いてください。
こう、「変えないといけない!!」という強い動機に支えられて、そのように動いて来たのですが、いざ、いいオファーを受け取ってしまうとこの「変えないといけない!」と思っていた点がそのまま「日産イケてない点」へとクルリンパしてしまいます。
ですので、すごく悩みましたし、上司にも相談したりしました。が、結局転職を決意しました。
それでもなお、日産を推す理由
私は去りましたが、日産には頑張ってほしい。というのも、日産はすごく面白い立ち位置にいるからです。
CASE という言葉があって、コレは Connected, Autonomous, Shared & Service, Electricの頭文字をとったもので、今後の自動車業界で重要な要素とされているものです。
CASEとは? 何の略? 意味は? 自動運転、コネクテッド、シェアサービス、電動化 | 自動運転ラボ
日産はこの中でいうとShared & Serviceこそ自社で立ち上がっていないですが、その他については業界で先駆けて実用化してきています。
前述したAlexaのリーフスキルも、2010年にすでにクルマがインターネットに繋がる機能をリリースしていたからこそ、その資産を最大限に活用して実装できたのです。2019年2月時点で、日本のAlexa Skillのコネクティッドカーカテゴリには、未だにリーフスキルしか無いのです。
このようにイノベーションが起きる技術要素は揃っていると言えます。
もし、新しいことにチャレンジしてみたいと思っているITエンジニアがいたら、是非、私がいた部署に応募してみてください。なぜこの部署を推すかというと、真にITの技術が必要だし、実践をしているからです。何より、上司がいい。僕とほぼ同時期に入社した方なのですが「こうしないといけない。こう変えていかないといけない」という問題意識があり、とにかく戦ってくれる、信頼できる上司です。
他にも日産の良かった点として
- 給料がいい (同年代で年収言い合いっこした際、GAFA以外に負けたことは無いです)
- 福利厚生がすごい (会社と、労働組合で別々に福利厚生が用意されている。ゆりかごから墓場まで系)
- 自動車会社じゃないとできない経験ができる (厚木の研究所はテンションあがりまくりです。男の子ってこういうのが好きなんでしょ? 系)
- 驚きのホワイト企業 (20:00 くらいになるとオフィスが閑散とする)
などが挙げられます。あと、日産は本社は横浜で研究所は厚木ですが、僕がいた部署は中目黒にあり、都心にほど近く、平日の勉強会なども顔が出しやすいです。IT/web系のエンジニアを集めるにあたり、横浜とか厚木だと人来ないだろ!! 中目黒じゃ! という経緯で中目黒にオフィスがあると聞いたので、や、本当にまともな人がいたんだなぁ……という気持ちです。
こういう人が向いています
日産(というか僕が元いた部署)に向いている人ですが
- 世の中にまだ無いものを作りたい人
- 組織ややり方自体を改善してものを作っていく気概のある人
- 自律的に動ける人
- モダンなコードが書ける人というのはすべてのベースラインです(みんなコードはめちゃくちゃバリバリ書ける)
逆に向いていない人は
- コードだけ書いていたい人
これくらいですね。
よく「いや、御社はハードルが高い……」と言われて、転職先候補にも上がらないことがよくあるのですが、やっていることは普通のwebアプリケーションであったり、スマホアプリ開発であったりと、特別なことは何もしていません。びっくりするほど普通です。web系の普通のアプリケーション開発なのですよ!!
はぁー、誰か、助けにきてやってくれ!!
これから何をするの?
さて、新しい職場は人工知能系のベンチャーで、実際に人工知能をお客さんが使える形の実装に落とし込んでいく部分を担当します。部署の立ち上げで、人の採用からがお仕事です。
人工知能の脳みそ部分を作る人は優秀な人がたくさんいるのですが、これを使いやすく提供するためにAPIやwebフロント、それを動かくインフラを作る人……つまり、普通のweb系のエンジニアが必要です!
もし興味がある方いましたら、twitterで @hidesuke までメッセージいただければ! 詳しいお話したり、会社へのカジュアル面談なんかもやりますので、ぜひお声掛けください!
いつもの
というわけで、ウィッシュリストをおいておきます。お祝いなどいただけたら光栄です!!