光圀伝 kindle版 冲方丁
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Kindleを買ったら絶対に読もうと思っていたのがコレ。
年間に100冊近く(ことしは少ないけど、いっても50冊読んでる)読む僕にはKindleはまさに福音。
その便利さにむせび泣くにふさわしい分量だった。
そして、また、このお話が最高によい。
冲方丁で読んだのは4作品目。
前に読んだ天地明察もめちゃくちゃよかったけれども、個人的にはこっちの光圀伝の方が好きだ。
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読んでいて、宮城谷昌光の春秋戦国時代をの人物を描いたあのシリーズを彷彿とさせられる。僕はあのシリーズが好きだ。
天地明察の方が展開としてはドラマティックかもしれない。
でも、この光圀伝の方がドンとした大作、傑作であると思う。
以下、ネタバレあり
光圀伝は、水戸光圀公の幼少期から水戸藩主を引退し、一人の忠臣、老中を自分の手で斬るところまでが描かれている。
時代劇の、あの水戸黄門が後世のフィクションであり、実際は諸国を回ったりはしていないことくらいは知っていたが、では水戸光圀はどのような人物であったのか。
虎である。
表紙にも描かれている通り、虎のような男である。
体格がよく、子どものころから錠を引きちぎる程の怪力の持ち主だったとか。
さらには文を愛し、詩をよく読み、その詩歌の才は天下一と呼ばれるほどの人物だった。
文武両道を地でゆく人物である。
この、光圀、兄がいるのだが、水戸藩の嫡子に選ばれる。
そのことに大いに悩み、それのことを『不義』と考え、いかにしてその義を正すか、それを考えて苛烈に生きた男であった。
と、まぁこんな話。
苛烈な男であるが、父母、息子、妻を先になくし、親友にも先立たれるなど、不幸もおおく、順風満帆な人生ではけしてなかった。
さらに最後は、子どものころから目をかけ、育てた老中を自ら手をかけなくてはいけなくなる。
喜びと別れの連鎖が続く、凄まじい一生の物語。
これを活き活きと見事に書き表しており、時間が立つのを忘れてドドドと読み進めていった。
手に汗握り、時に涙する、一代記。
いや、本当に、これは見事なお話だった。