- 作者: 上橋菜穂子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/08/10
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前読んだ時から2年! 待望の完結編が文庫化されたので意気揚々と購入!
読み始めて、「あー、前はどうんな話だったっけ……」と思ったので以前の読書感想文をみてみると
うーん。あらすじを書くのは結構しんどいので割愛。
割愛すんなあほーー!!
2年前の自分を恨みつつ、やっぱり今回も割愛。
本書の解説に書いてあったけれども、前半2作品が完璧な作品なんだ。
その完璧さが失われてもいいから続編が読みたいと言われたと、著者のあとがきにかいてある。
たしかに、前半2つと比べると、溜息の出るような完璧で閉じた物語というものは感じない。
前半2つの闘蛇編、王獣編は幼いエリンの個人的成長を軸に書かれた物語で、
今回の探求編、完結編は成長したエリンが、自分が発見してしまった力に、国家に翻弄されながら、次代のために生きるというような大きな話。
いままでの読書体験から、この個人の成長の物語が大きくなって国家や世界という規模にシフトしてきたら大概面白くなくなる。それを打破する概念がセカイ系だとおもうわけだが、これはまた別の話。
前半を読んでいたときは「寝るのを忘れて読む」ほど面白かったのだけど、今回はたしかにそれほどではなかった。
でも、文句なしに面白い。
エリンの中では何が大事なのかがはっきりと決まっているのだけれども、それがわからない/理解できない精神的にも肉体的にも幼い息子のスレ違いが軸に添えられた話だ。舞台がちょっと壮大ではあるけれども。
なんだろう、きちんと着地してはいるんだけど、なんだか前半2つの満足度にいたらない感じはある。
子をもって、育てていくと、また見え方が違ってくるのかなぁ。
しかし、やはり、この「作者の想像の中の世界でのリアル」を見事に描ききっている点はすばらしい。
とてもいい小説。