名称未定ドキュメント"Que"

ゴーゴーカレーでロースカツビジネスルー増し頼んでキャベツを4回おかわりするブログ

半熟作家と"文学少女"な編集者 野村美月

ついに完結!

最終巻は編集者になった遠子さんと、未熟な担当作家のお話。
……というか、ラブコメ!
いつもの文学に絡めたストーリー展開も少なめだったけれども、お話はしっかり出来ていたし、なによりオチがよかった。文学少女ファンならくらっとする最高のオチだった。まさか、そこで。


シリーズを通しての感想を。
全体的に、非常に平易な文書で書かれていて、かなりの低年齢層、それこそ小学校中学年以上くらいなら簡単に、そして楽しく読める内容がいい。逆に三十路前の私みたいなおっさんが読むには、ちょっと子供っぽくてキツイ部分がある。
しかし、内容は非常にしっかりしている。登場するキャラクタもそれぞれ個性に富んでいて、最近はやりのいわゆる"ラノベ"なんかよりも、きちんと情景が描かれている。

なによりも素晴らしいのが、ひとつひとつの物語に、文学が題材として取り上げられている点だ。
具体的な作品名と、その有名な文、あらすじが解説してあり、それになぞらえた内容が展開していく。
取り上げられる題材は洋の東西を問わない。いずれも名作ぞろい。

この本は小学校、中学校の図書館に必ず置くべきだと思うんだよね。あと、NHKあたりでアニメ化して欲しい。
この作品自体楽しいし、かわいいし、なんといっても、文学への興味を掻き立てられる。
取り上げられる作品の一つ一つが本当に、キラキラと描かれていて、その作品に興味を抱く。
それこそ、砂粒の数ほど世に溢れる名作の中から、どれを読むべきかなんて子どもの頃はちっともわからなかった。
背伸びして、有名な作品を読んでみても、文語体で書いてあってさっぱりわからなかったり、つまらなかったりすると、読書や文学への興味を失ってしまう。
でも、こういう羅針盤的作品があれば、その元の作品をたのしみ、さらに文学少女シリーズも楽しめる。そして、道しるべが分かると、そこから自分で文学の海へと漕ぎ出せる。

そういう役目をこの本は十二分に果たしてくれるはずだ。活字離れが嘆かれる昨今だけれども、こういう敷居の低い作品から興味を広げていけばいいとおもう。

そういや、このシリーズを読んでから本棚からボロボロの(奥付をみると俺より年上だった)銀河鉄道の夜を引っ張り出して読んだりしあなぁ……。

ラノベって玉石混淆が激しすぎるけれども、それでも少なからず名作はある。そういうのをきちんとレコメンしていけるようなそういう人が増えるといいな。そういうブログをかけるようにがんばるか。