名称未定ドキュメント"Que"

ゴーゴーカレーでロースカツビジネスルー増し頼んでキャベツを4回おかわりするブログ

ディエンビエンフー

ディエンビエンフー 1 (IKKI COMICS)

ディエンビエンフー 1 (IKKI COMICS)


ディエンビエンフー 2 (IKKI COMICS)

ディエンビエンフー 2 (IKKI COMICS)


徹底的にデフォルメされている方が、時として残酷でリアルで美しい。
ベトナム戦争に送り込まれた無能で間抜けな軍事カメラマンのストーリー。
「お姫さま」と呼ばれるなぞのベトコン(史上最強のヒロイン)を探すためにグリーンベレーに配属される。
お姫さまと接触するたびに多くのグリーンベレーの精鋭達は死んで行くのだが、主人公のミナミだけは生き延びる。
戦争は進んで行く。泥沼へと。


ベトナム戦争と言われるとどうしてもフルメタルジャケットハートマン軍曹の「逃げる奴はベトコンだ! 逃げない奴は訓練されたベトコンだ!」という台詞を思い出さずにはいられない、がどうでもいい。


この作品の凄いところは徹底したデフォルメにある。
残酷さ、悲惨さを表す方法として、精緻に書き込み徹底したリアリティを求める方法がある。
井上雄彦バガボンド山口貴由シグルイ、昔のCLAMP(Xの頃)もそうだ。
実際に人が切られるところなんて見た事ないから、何がリアルなのかは分からない。もしかしたら上に挙げた人達が書くように、内蔵がどさりと外にでたり、切られた後もピクピクしてたりはしないかもしれない。それこそ誇張というデフォルメかもしれないけれど、そういう直接的な嫌悪感を与える描写はなぜかリアルに感じてしまう。
でも、この作品みたいに、ともすれば海外でびっくりするような値段で取引されるクールジャパンな現代アートっぽい絵柄のかわいいキャラクターがばっさばっさと斬り殺されていく描写は、精緻に描かれたモノよりも心に訴えてくるものがある。いちいちシンボリックなんだ。デフォルメというのは、結局、その特徴的な部分を徹底して誇張表現することだと言える。かわいいキャラクタが残酷な死に方をする事でその事実の残酷さが異常に誇張され表現される。それでいて、ソフトに描かれているから読後感は悪く無い。でも、その「死」そのものはシンボリックに誇張され、いつまでも記憶に残る。
読者に向かって何かしらの答えを提示する作品ではなく、問題提起を行う作品の場合、こういう表現はすごく有効かもしれない。
#そもそも僕はリアリティという考え方に懐疑的。その辺は今後、ゆっくり書こうと思う。


ところてん

セカイ系ベトナム戦争まで喰ったのか

と書いているけど、なるほどセカイ系ねぇ……
主人公の閉じた視点からぼんやりと描き出されていてたしかにセカイ系かもしれない。
一つだけ確かなのは、べらぼうに心に訴えてくるものが有る作品ということだ。