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hidesukeの読書感想文

遠藤雅伸のゲームデザイン講義実況中継 株式会社モバイル&ゲームスタジオ

読書

遠藤雅伸のゲームデザイン講義実況中継

遠藤雅伸のゲームデザイン講義実況中継

  • 作者: 株式会社モバイル&ゲームスタジオ
  • 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
  • 発売日: 2012/03/30
  • メディア: 単行本
  • 購入: 2人 クリック: 15回
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ゲームの"神様"と呼ばれる、ドルアーガの塔ゼビウスの生みの親である遠藤雅伸氏が、大学や会社での講義をまとめた本。
この本の内容について、本の帯にでかでかとかいてある一言が全てを表している。

"面白い"とは何か?

これについて書かれている。
全部で15章からなっており、ゲームデザインに必要な要素やその歴史について広範囲にわたって記述してある。
ゲームだけに限らず、エンタテインメントに従事する人はみな読むことをおすすめする。

全編を通じて伝わってくるのが、遠藤さんの語る言葉には「ゲーム開発者のエゴが無い」ということ。
実際に仕事でゲームを作っていて思うのが、作品のなかにはどうしても開発者のエゴが交じる。
ここはもっとこうした方がいいんじゃないか? と思う場所があったとする。すると、例えば工数(=作業時間)が足りなくなるからこのままでいい、とか、その部分について開発者の思い込みやこだわりがある部分なので変えない、だとか、特に根拠なく「これでいいんじゃない?」とか、まぁ、そういう事が多い。
しかし、ユーザ視点に立って「ここはユーザはこう思う」「これはうざい」などということをきちんと考えられる、客観的にその作品を見返すことができるというのがすごいことだ。そして、僕たちはそうあるべきだ。

これを読む前に、ソーシャルゲームはなぜハマるのか*1を読んだからかもしれないけれども、『面白い』というのはユーザ(プレイヤー)のモチベーションをいかに継続させるかの追求のように思える。
簡単すぎても面白く無い、難しすぎたら心が折れる。そのちょうどいい部分を探す。そのバランス感覚を得るための一つのヒントに本書はすごくいいと思った。

著者の遠藤雅伸氏は1959年生まれ。
しかし、この本の扱っている内容は、ごくごく最近のものまで、すごく幅広い。
『講義の終わりに』という章に僕は感銘を受けた

 実際に大学の授業であれば、今の学生だとポケモン以降のゲームでないとわからない。アニメを引用する場合も、エヴァンゲリオンはもう通じない。ハルヒですら怪しい。けいおん!あたりからになるので、教えるほうもそれなりに勉強しておく必要がある。

けいおん!までカバーしていて、それを『面白い』と思う53歳(2012年時点)!
面白いということを追い求めるというのは、その時代の『面白い』を追っていないといけない。だけでなく、それを伝えるために、伝える相手のことを考えて話題を追い、「勉強しておく必要がある」と言うその姿勢に、僕は心を打たれた。

この『講義の終わりに』という章は名文である。
遠藤氏のゲームに対する思いや現状に対する危機感、若手のゲームクリエイターの事、未来の事と、日本のゲーム業界に関する思いが熱く語れれている。

結びにはこう書かれている。

 ちょうど、2012年度のしん楽器がまもなく始まる。この本の内容は、11年度の授業を元に11年6月から11月にかけて行われていたもので、そこからさらに半年が経っているから、カリキュラムのアップデートをしている最中だ。5年後は誰にも予測できないゲームの世界だけに、教えるほうも歴史みたいに毎年同じ内容というわけにはいかない。また何らかの形で、この本もアップデートすることを約束して、最後の結びとしたい。

常に進歩し続けるゲームの世界で、歩みを止めずに、僕達ゲーム開発者自信も常にいろいろなものをアップデートし続けなくてはならないという、メッセージのように思えた。
ゲームの"神様"は、どこまでも努力と勉強を続けている。それ故に"神様"なんだと思った。

*1:[asin:4797366230:detail]