名称未定ドキュメント"Que"

ゴーゴーカレーでロースカツビジネスルー増し頼んでキャベツを4回おかわりするブログ

虐殺器官 伊藤計劃

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)


表現の力。
もう、その圧倒的な表現力によって、美しく彩られた虐殺の物語。
生々しく、美しく、色鮮やかに描かれていて、とにかく衝撃を受けた。


近未来。
テロリストのお手製核爆弾によって、サラエボが地図から消え、インドとパキスタンが核戦争を行った後の世界。
主人公はアメリカの「情報軍」の暗殺部隊の隊員。
敵地に潜入し、暗殺を行うことが仕事だ。
世界各地で大虐殺が起こっている。そのすべての現場に「ジョン・ポール」というアメリカ人が関与している。
ジョン・ポールの暗殺が主人公のミッションなのだが……


作者は、ガンと戦いならがこの珠玉のSF作品を書き上げ、35歳という若さで他界した。
命を絞り出すように、言葉を紡いで、その紡がれた言葉の一つひとつが圧倒的な迫力と存在感がある。
冒頭の1ページ。とある戦場の風景なのだが、このシーンの衝撃が最後まで尾を引いた

 泥に深く穿たれたトラックの轍に、ちいさな女の子が顔を突っこんでいるのが見えた。

 まるでアリスのように、轍のなかに広がる不思議の国へ入っていこうとしているようにも見えたけれど、その後頭部はぱっくりと紅く花ひらいて、頭蓋の中身を空に曝している。


調べ上げ、必要十分で語られるディテール。
素晴らしい想像力による深い考察。
こういう小説は読んでいてすごく心地よい。
そして、この次に禁書目録を読んだせいで禁書目録のくそっぷr(ry