名称未定ドキュメント"Que"

ゴーゴーカレーでロースカツビジネスルー増し頼んでキャベツを4回おかわりするブログ

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 夢枕獏




夢枕獏の小説は、独特の言い回しや間のとり方が、大歴史ロマン小説にピッタリあっていて、非常に良い。
その時代の空気、匂いが香り立つかのような文章だ。

全4巻からなるこの大長編。
密教を日本に伝えた空海が遣唐使として唐にわたり、妖術大合戦を繰り広げるという、まぁ平たく言えばそういう内容。
主な登場人物は空海と橘逸勢
一巻を読んでいるとものすごい既視感……。
こ、これは陰陽師じゃねぇか!
空海=>安倍晴明橘逸勢=>源博雅という構図でまんま陰陽師
あとがきを読んでみると、陰陽師を書きだしたのが1987年。本作が1988年というからなるほど、納得がいく。
お話がすすむに連れて陰陽師っぽさがうすれていった。

私の妻が面白い事を言っていた。
シャーロック・ホームズと同じ構造だよね、と。
シャーロック・ホームズとワトソン氏。ホームズという超天才はいろんなものが瞬時にわかってしまい、それは普通の人にはわからない。だから、ワトソン氏が間にはいって「それはどういうことなんだ」と言って適宜説明を促す。これによって、物語はわかりやすく、そして面白く進んでいく。
なるほど、この空海と橘逸勢の関係もまさにそんなかんじだ。

本編は壮大な話で、楊貴妃玄宗皇帝の話を巻き込んで大唐国の秘事をめぐる物語である。
様々な謎や、歴史が随所にちりばめられていて、たたみかけるように様々な事件がおこる。
まさしく息を呑む展開。

各巻400ページを超えるボリュームでありながら、ぐいぐい引きこまれてどんどん読み進めることができた。
今年も良い読書ができそうです。