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ゴーゴーカレーでロースカツビジネスルー増し頼んでキャベツを4回おかわりするブログ

打ちのめされるようなすごい本 米原万里

打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)

打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)

書評集である。
著者はエリチィンやゴルバチョフで通訳を名指しで指名される、ロシア語通訳の故・米原万里さん。
彼女は2006年にガンでこの世を去るのだが、死の直前まで書き綴られた書評を集めた一冊。

前半は週間文春に連載されていた「私の読書日記」。
後半は新聞や各種雑誌などに載せられた書評集という構成になっている。

ご存知のとおり、ブログで読書感想文を書いているが、どうも自分の読書感想文は面白くない。
伝えたいことが伝わらない。
だから、他人の書評集でも読んだら何かの足しになるかなぁ……と思って手にとってみたら、これがすごく面白かった。

書評についてだが、この著者のほめ方がうまい。
特に印象に残ったのは、「笑える」という単語だった。
本当に、実に面白そう委「笑える」と書く。
それは文字通り「ゲラゲラ」笑うものもあれば、クスリとするもの、ブラックユーモアに対しての笑いなどなどいろいろな種類の笑いがあるようだが、もう、とにかくその本をすぐに読みたくなるのだ。
たまらん。


しかし、圧巻なのは前半の「私の読書日記」。
前半は日記+本の紹介のような形なのだが、途中でガンを宣告される。
そこからの彼女猛烈な「生」への執着。
ありとあらゆる文献をあたり、少しでも長く生きようとして、さまざまな治療方法を見つけてきては試していく。
ある場面では医者の言うことに耳を傾けない、頑固な嫌なおばちゃんなのだが、絶筆までの鬼気迫る感じが伝わってきた。
最後の日記は、刺絡療法に失敗した話であったところがまた、胸がつまる。


名言名句がたくさんあり、いっぱい引用して紹介しよう! と思ってドッグイヤーしたり付箋をはったりしてたのだけど、あまりにも多くの箇所がありすぎて、もう実本読んだほうが早い! と思ったのであえて紹介しない。

ぜひ、手にとって読んで欲しい。

一人の激しく生きた女性の一代記だ。