- 作者: 舞城王太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/06/13
- メディア: 文庫
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芥川賞ノミネート作品。
ちなみにこの時の芥川賞受賞作品は「介護入門」*1でした。
あー、うん。確かに介護入門の方がえらばれるわなー。
でも、どっちが好きかと言われると好き好き大好き超愛してる。だ。
舞城王太郎は『愛』の作家だ。
調布か、福井でもうどうしようもなく人が死に、町が破壊され、それでも「愛が一番だぜー!」と叫び続ける。
どんなにハチャメチャで、どんなに愛とは遠い物語に見えても、結局テーマはすべて愛なのだ。
でも、この作品はその『愛』というテーマを舞城らしくなく超ドストレートに表現している。
冒頭の書き出しからその様子が伺える。
愛は祈りだ。僕は祈る。
ってね。
内容は、何人かの登場人物を中心とした幾つかの短編。
基本は『柿緒』という女性が死んで、残された小説家が小説を書く話なのかな?
相変わらずの突飛な発想と、メタメタな文章作法が逆に心地よい。
愛とはなんぞ? を考えるときに、人が死ぬ事、残された人がどうするか? という題材を書くのは安易なようにも見える。
でも、その考えや行動が舞城でないと書けないもので、しかも舞城じゃないと説得力に欠けるものばかりだ。
ああ、コレが文章力なんだろうなぁ……
相変わらず、調布に実在する物が沢山でてきて面白かった。
ヤブ医者として有名な北多摩病院じゃなくて東山病院がでてきたりして調布在住8年目の僕としてはかなりニヤリでした。
……そうか、もう8年なのか
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