- 作者: ロバートホワイティング,Robert Whiting,松井みどり
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2002/04
- メディア: 文庫
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ニコラス・ザペッティという人物がいた。
戦後、日本にきたアメリカ人。
闇市でぼろ儲けし、まだ米軍駐屯地しかなかった六本木にピザ屋を開き大儲けした。
強欲で、尊大。戦後日本の闇の部分を全て見て来た外国人の一代記だ。
戦後からバブル崩壊まで、六本木という場所で日本の暗部を見つめ、積極的に参加し、儲けて来た男。
政界の大物との繋がりもある。ヤクザとは当然のようにつきあっている。
なんと、彼の店には現天皇明仁さまが皇太子時代には、ピザを食べに美智子さまを伴って彼の店を訪れていたとか。
政治と暴力が絶妙に絡み合う日本で、暗躍し、ついには「東京のマフィア・ボス」と呼ばれた。
そのザペッティの来日から死ぬまでが描かれている。
著者は日本に留学していたアメリカ人。
よくよく日本について勉強しており、実際にヤクザとの交流もあったらしい。
考察も深い。よく調べ上げ、分かりやすくまとめられている。
「住専」や「佐川」といった自分が幼くて理解できなかった事件の全容と、それがどうなったのか、どうしてそうなったのかなどなども分かりとても興味深い。
金丸副総裁が何をやったかとか、そう言うことは全然しらなかっただけに、二重で楽しめた。
しかし、著者がアメリカ人であるために「アメリカ人の目からみた」という感じが否めない。
いや、実際にそうだろう。ところどころ赤日っぽい記述や、半島の人がアメリカで言いふらしていると有名な内容が含まれていたりした。
あくまで「アメリカ人視点」なのだ。
全く同じ人物を、例えば「ヤクザ」の視点から。在日の視点から。左翼の視点から語る文章を読んでみたい。
きっと、もっと違う印象を受けるだろう。
しかし、なかなかハードな読み物ではあったけれど、非常に面白かった。