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ゴーゴーカレーでロースカツビジネスルー増し頼んでキャベツを4回おかわりするブログ

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そのケータイはXX(エクスクロス)で (宝島社文庫)

そのケータイはXX(エクスクロス)で (宝島社文庫)


以前地獄のババぬき (宝島社文庫)読んだが、その前編にあたる作品。
文章は拙く、盛り上がりに欠ける導入。解説には「パッチワークのような」とあるが、うん、たしかにツギハギだらけの作品。
人に読ませる文章として、ギリギリの作品だとおもう。
正直、文章だけなら文章力向上委員会の中にこれ以上に上手な人が沢山いる。


しかし、この作品が『このミステリーがスゴイ!』大賞で隠し球という賞に選ばれたのには納得する。
内容がべらぼうに面白いからだ。
とにかく、徹頭徹尾エンターテインメントに徹しており、中盤から後半にかけてのスピード感は半端じゃない!


女子大生のしよりと愛子はしよりの傷心旅行(?)に山奥の温泉村、阿鹿里村を訪れる。
その村では外から来た若い娘を捕まえて片足、片腕、片目を切り落とし、生神として座敷牢に閉じ込めるという風習があるという。
そして、しよりは村人から生神とされるべく捕らえられそうになる……


という、しよりの逃走劇と、あと愛子もまた別件で大乱闘+大逃走を行うのだが、まぁ、そんな話だ。
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しよりと愛子、逃走しなくてはいけない理由はそれぞれ違うし、彼女らを追いかける人も違う。
でも二人の逃走劇はところどころで重なりあい、やがて一つの場所へと向かって行く……。
この二つの逃走劇が織りなすストーリー、疑心暗鬼、衝撃の結末!
しよりの逃走劇や愛子の格闘シーンなど兎に角スピード感に溢れ、導入部分では拙く余計な描写が多かった作者の筆が、ここにきて突然輝き出す。
ああ、この人は書くことを楽しんでいる!!


兎に角、エンターテインメントに特化した、それだけのための作品。
文章が下手とか上手いとかじゃないんだよ。面白いか、面白く無いか、それが一番重要ってことだ。


地獄のババぬき (宝島社文庫)

地獄のババぬき (宝島社文庫)