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ゴーゴーカレーでロースカツビジネスルー増し頼んでキャベツを4回おかわりするブログ

海と毒薬 遠藤周作

2013年19冊目

海と毒薬

海と毒薬

Kindleの偉大さは「安かったから」という理由で、こういう古い名作を再読するチャンスをわりとカジュアルに与えてくれるというところだ。

というわけで、久しぶりにこういうのを読んだ。 遠藤周作の作品は「沈黙」と「深い河」を学生時代に読んですごい衝撃を受けた。

沈黙 (新潮文庫)

沈黙 (新潮文庫)

深い河 (講談社文庫)

深い河 (講談社文庫)

純文学という堅いイメージとは裏腹に、すごく読みやすい平易な文章で、「神とは何か」というよう重いテーマを書いていて、当時とても影響を受けた。 「彼は醜く威厳もなく」という聖書の一文がえらい頭に残っている。

さて、「海と毒薬」は戦時中に九州帝国大学で、アメリカ人捕虜の生体解剖実験を行った事件があり、これをモデルにした創作である。 戦争という時代のなかで、しかし、戦争とはあまり関係なく、医局の権力構想や、登場人物の心理的な興味など、様々な思惑から淡々と進められ、死んでいく。残酷でありながら、人の命とはなんなのかという問題を突きつけてくる作品であった。