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ゴーゴーカレーでロースカツビジネスルー増し頼んでキャベツを4回おかわりするブログ

光圀伝 kindle版 冲方丁

光圀伝 電子特別版 (上) (角川書店単行本)

光圀伝 電子特別版 (上) (角川書店単行本)


光圀伝 電子特別版 (中) (角川書店単行本)

光圀伝 電子特別版 (中) (角川書店単行本)


光圀伝 電子特別版 (下) (角川書店単行本)

光圀伝 電子特別版 (下) (角川書店単行本)

Kindleを買ったら絶対に読もうと思っていたのがコレ。
年間に100冊近く(ことしは少ないけど、いっても50冊読んでる)読む僕にはKindleはまさに福音。
その便利さにむせび泣くにふさわしい分量だった。


そして、また、このお話が最高によい。
冲方丁で読んだのは4作品目。
前に読んだ天地明察もめちゃくちゃよかったけれども、個人的にはこっちの光圀伝の方が好きだ。

天地明察(上) (角川文庫)

天地明察(上) (角川文庫)


天地明察(下) (角川文庫)

天地明察(下) (角川文庫)

読んでいて、宮城谷昌光春秋戦国時代をの人物を描いたあのシリーズを彷彿とさせられる。僕はあのシリーズが好きだ。
天地明察の方が展開としてはドラマティックかもしれない。
でも、この光圀伝の方がドンとした大作、傑作であると思う。

以下、ネタバレあり

光圀伝は、水戸光圀公の幼少期から水戸藩主を引退し、一人の忠臣、老中を自分の手で斬るところまでが描かれている。

時代劇の、あの水戸黄門が後世のフィクションであり、実際は諸国を回ったりはしていないことくらいは知っていたが、では水戸光圀はどのような人物であったのか。

虎である。
表紙にも描かれている通り、虎のような男である。
体格がよく、子どものころから錠を引きちぎる程の怪力の持ち主だったとか。
さらには文を愛し、詩をよく読み、その詩歌の才は天下一と呼ばれるほどの人物だった。
文武両道を地でゆく人物である。

この、光圀、兄がいるのだが、水戸藩の嫡子に選ばれる。
そのことに大いに悩み、それのことを『不義』と考え、いかにしてその義を正すか、それを考えて苛烈に生きた男であった。

と、まぁこんな話。

苛烈な男であるが、父母、息子、妻を先になくし、親友にも先立たれるなど、不幸もおおく、順風満帆な人生ではけしてなかった。
さらに最後は、子どものころから目をかけ、育てた老中を自ら手をかけなくてはいけなくなる。
喜びと別れの連鎖が続く、凄まじい一生の物語。

これを活き活きと見事に書き表しており、時間が立つのを忘れてドドドと読み進めていった。
手に汗握り、時に涙する、一代記。
いや、本当に、これは見事なお話だった。