- 作者: 小野不由美
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1991/09/30
- メディア: 文庫
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会社の常駐さん(女子)の机の上に何故か何冊か小説が置いてあって、「それ何?」って話をしたんですね。そしたら、結構読んでる小説が被ってた。まぁ、私が雑食だからやたら広い範囲をカバーしてるというのもありますが。
で、その子(その子とか言ってるけど、俺より年上だ)は小野不由美、とりわけ十二国記が好きだ、と。
たしかに、机の上には十二国記がおいてあって、しかも本のページが手垢で変色するほど読み込んでいる! すげー!
で、十二国記おもしろいっすよねーと言う話をしてたところで、この本、魔性の子をレコメンされたわけです。
曰く、十二国記のスピンオフみたいなもんだ、と。
で。
丁度お金ないし、積ん読もそこをつきそうだしということで借りて読んだら、ドエライおもしろかった。
教育実習生の広瀬は、実習先の高校で中里という不思議な雰囲気の生徒と出会う。
その中里は子どもの頃に神隠しに会ったらしい。ある日突然、庭先で消え、1年後にひょっこり戻ってきた。消えていた間の記憶は無い。
中里のまわりでは、中里を害する者には必ず不幸な事故が訪れる。怪我をしたり、死んだり。
広瀬の実習中にもそのような事件が起こる。それがどんどんエスカレートしていく……。
というようなホラーファンタジー。
いや、コレが背筋が凍るわけですよ。
ヒトが薄気味悪さや、恐怖を感じるところを的確に、過不足なく描写している。
でも、ただ「キャー怖――い」だけじゃなくて、人間の『心理』というものをよくよく描いている。
化物も怖いけど、人間も怖い。むしろ人間怖いっていうね。
最初は中里を恐れて(中里は何もやってないわけだが……)まわりは中里を避ける。たまたま突っかかった人間に災厄が訪れると、今度は彼を責め立て排除しようとする。するとさらにひどい報復が起こり、次は中里にとり行って保身に走る、さらには……というように、人間が恐怖を感じたときに取る行動というものがよくよく描写されている。さらに、その恐怖にかられた人間の数によって、その質も変わってくるところなど、やっぱり人間こわいです><
そして、最後は綺麗に十二国記につながった。
十二国記を読んでなくても十分たのしめるけど、読んでいたら2度美味しい。
大変満足度の高い作品でした。