名称未定ドキュメント"Que"

ゴーゴーカレーでロースカツビジネスルー増し頼んでキャベツを4回おかわりするブログ

銃・病原菌・鉄 上 ジャレド・ダイアモンド

銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

しばらくすると、ヤリは私に質問をはじめた。(中略)過去数万年のあいだにニューギニアにやってきた自分の祖先たちは、実際にはどのようにしてここに移り住んできたのかと尋ねた。その質問につづけて、これまでの二○○年間に、ヨーロッパから来た白人たちはニューギニアをどのように植民地化したのかと尋ねた。

彼はこう尋ねたのだ。「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それは何故だろうか?」

ニューギニアで鳥類の研究をしていた、筆者(アメリカ人)は現地の政治家ヤリから上記のような質問を受ける。
要約すると「現代世界における各社会の不均衡は何故起きたのか?」ということだ。
これに答えるのは容易ではない。
筆者は二十五年の研究のすえ、ヤリの疑問に対する答えとして書かれたのが本書だ。


簡単に言うと、この本は人類史について書かれた本である。
筆者による要約だと、

歴史は、異なる人びとによって異なる経路をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない

とのことである。なんのこっちゃ。
ちゅうわけで、読み進めていくとなるほど納得のいく内容。


歴史書と言われると、何年何月にだれそれがなにそれをして、何々帝国ができあたったー、とか、そういう歴史の教科書的な展開かと思ってしまう。
しかし、この本で語られる歴史はサイエンスだった。
そもそも南アフリカで誕生した人類がどのような経路で世界に散らばっていったのか。それぞれの場所で”何故”定住したのか。”何故”農耕をはじめたのか。”何故”家畜を飼うようになったのか。
歴史の”何故?”を徹底的に解説してある。それぞれの出来事には理由がある。
西暦1500年前後の世界で、ヨーロッパとアメリカ大陸で何故そこまで技術の差があったのか。
何故100人程度の人数でスペイン人はインカ帝国を滅亡させることができたのか。
そこには人類史を紐解くことで見えてくる理由があるということが本書で解き明かされている。


世界は、繋がっていって、歴史には理由がある。それが本当に丁寧に解説してあって、うならされるばかリである。


上巻は人類がどのようにして世界に広がっていったのか、人類がいかにして農耕をはじめたか、人類はいかにして家畜を養い始めたか、について書かれている。
特に後半の二つについては、はじめた理由、始めなかった理由(農耕や、牧畜が現代にいたるまで行われなかった地域・民族もある)が書かれている。


ちなみにタイトルの「銃・病原菌・鉄」とはヨーロッパ人が他の大陸を制服できた直接の要因を凝縮して表現したものである。
なんというか、様々な要因が絡み合っていて、本書の内容を端的に表すことはむずかしい。
銃を持つ人達と持たない人たち、鉄の道具をもつ人達と持たない人たちの差はわかりやすいかもしれない。
そして、病原菌。これも実は人工稠密となったからこそできてきた要因の一つなのだ。


この本は、本当に面白いので是非読むべき!