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ゴーゴーカレーでロースカツビジネスルー増し頼んでキャベツを4回おかわりするブログ

レインツリーの国 有川浩

レインツリーの国 (新潮文庫)

レインツリーの国 (新潮文庫)


ああ、また激甘恋愛ストーリーなんだけど、やっぱりビシッと芯がある最高の物語でした。
そして、深い。

聴覚に障害を持った女の子と、健聴者の男の恋愛物語。
ものすごく、よくよく調べられ、練られた内容にも舌を巻くが、
一番すごいと思うのは「女の子の理論」と「男の子の理論」をきちんと書き分けてあるところ。


だって、作者は一人しかいなくて、結局その作者が「こうだ!」と思う答えはきっとほぼ一つしかないわけで。
そこで「女の子」と「男の子」がそれぞれの主張をして、議論を交わして、喧嘩して……
つまり、二つの考え方を一人の作者が小説の中で戦わせるわけです。
その力量、想像を絶するものがあるなぁ……


聴覚障害を持つ女の子の性格は、障害のせいで多少ひねてる部分もあるけど、それを抜きにしても若干面倒くさい女として見事に描かれており
主人公の男も、暗い過去をもちつつも割り切って、しかも自分の考えをもって芯の通った行動をする(が、若干自己中心的でイラッとするw)人物として見事に描かれている。


当然、有川さくひんなのでほっこりほくほくきゃーいやん♪なハッピーエンドなのですが、
重たいテーマを恋愛と絡め、それでいて綺麗に読後感もよく、それでいてご都合主義でもなくまとめてあり、すごく面白かった。