- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 講談社
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村上春樹の作品は「海辺のカフカ」*1だけ読んだ事がある。村上龍の方はもっと一杯よんでるな。
いや、スゴイとおもった。
舞台は1969年。学生運動まっただなかにいて、そんなこととは関わりを持たず、淡々と生きた青年の出会いと別れの物語。
きっと、僕はこの青年とは仲良くはなれないし、人間的魅力を感じる事ができないだろう。
なんだか浮世離れしていて、常に若干客観の視点を持っている。
自分というものがなく、周りと状況に流されているような印象をうける。
しかし、彼に関わる女性達は彼の中に強さのような物を見いだしているような印象を受けた。
なんだ、この主人公美少女ゲームの主人公みたいじゃないか。
出版されたのは1987年。
21年がたって、なお、この作品の面白さに陰りは見えない。
孤独や喪失、苦しみなんかを鋭く切り取り、居場所の『分からない』青年を見事に描いている。
舞台が2008年だーと言われても違和感はない。
でも、不思議な事に読後に分かりやすい感想がまったくうかばないんだ。
面白い、面白くないで論じると圧倒的に「面白い」。
でも、じゃぁ、どこがおもしろいの? といわれたらちょっと困る。
上の感想も一生懸命うんうん頭をひねって書いた感想だ。
不思議。不思議な読後感。
この本に出会うのが遅過ぎたのか、はたまた早過ぎたのか。
すくなくとも、あと6年早く出あっていたら、確実に僕の書く文章はもっと別な方向に向かっていただろうなぁという、根拠の無い確信だけはある。
*1:[asin:4101001545:detail][asin:4101001553:detail]