- 作者: 石田衣良
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2001/12
- メディア: 文庫
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年末に、ながしろばんりと鰻田にょろ系の文章書きのむさい男であつまったときに、クリスマスプレゼントとしていただいた本です。
石田衣良の本は読みやすくて、面白いのだけど、なんだか凄くドライな感じがするんだよな。語り口があまり好きじゃないのかもしれない。
うつくしい子どもは、殺人を犯した少年の家族を描いた作品。
逮捕後の過剰なマスコミ攻勢。殺人犯(触法少年)少年Aの兄へのイジメ。
事前知識はまったく無しに読んでいて、最初の方で「いったいこの作品は何をいいたいのかまったくわからん……」と思っていたら、全ては後半の、殺人事件終了後に焦点があっていたんだ。すごいな。
主人公は殺人を犯した少年Aの兄。
14歳の彼は驚くほど強い。だって、事件後彼は弟の犯行の動機について独自に調べて行く。
弟はずっと彼の弟だから、兄として、彼の事を理解してあげないといけない、と。
加熱して行くマスコミの報道。両親の離婚。陰惨なイジメ……
それらにめげる事なく、彼は調査を続け、とある結論へと辿り着く。
ちょっと、考えられないほどの主人公の強さ。
しっかりとしたエンターテインメント作品として仕上がっている、と同時に、多くの問題を投げかけてくる。
小説とはこうあるべきなんだろうな、と思わされる良作。