名称未定ドキュメント"Que"

ゴーゴーカレーでロースカツビジネスルー増し頼んでキャベツを4回おかわりするブログ

"文学少女"と穢名の天使

“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)

“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)


"文学少女"シリーズは現在全部で5冊出ている。
テキストを全く見ずに5冊全部かったのだが、これが正解だった。
たぶん、1冊づつ買っていたら多分2冊読んだ時点で次は買わなかっただろう。
だが、どうだ。おお白くなるのは3巻からだ。


今日読み終わったのは4冊目。
ステレオタイプなツンデレ少女「琴吹ななせ」がずっとデレのターーン!!
ななせの友人が失踪する。これに、また首を突っ込む心葉……。


と、まぁ、単体のストーリーとしてみたら今ひとつだ。
謎解きな要素はあるのだが(というか作者は意識して書いてるんだろう)が、この謎解き要素はいまいちすぎる。
失踪したななせの友達が誰が彼氏かというヒントをくれるのだが、このヒント(+本文中に隠されているヒント)だけではゼッタイに答えがわからない。そんなのは無しだろ。いくら文学少女シリーズとはいえ、答えを教える段になって始めて名前が出てくる絶版になっている古い物語がヒントなんて、そんなの無しだ。文章の中で全てが完結していないと、ちょっとあり得ない。展開はご都合主義で短絡的。いまいちな部分ばかりが目につく。


だけど、この作者のうまいところは、いままでさんざん女々しかった心葉がすこしづつ、本当に少しずつ自分と向き合って行く様子が上手に描かれているのだ。そして、徐々に存在感をましてきた心葉のトラウマ「美羽」の復讐。
多分、次の巻でななせは大いに傷つくんだろうな……そして、心葉も傷つくんだろうな……
一つ一つの物語は決して上手でも、すごく面白くも無い。
ただ、大きな流れが、徐々に結末に迫って行く。そのなかで、一人一人が着実に変わって行く様を上手に書ききっている。
次が楽しみでしょうがない。
ああ、珍しいタイプの本だ……。こんなに、一つ一つは微妙な評価をしているのに、全体として面白いなんて!