名称未定ドキュメント"Que"

ゴーゴーカレーでロースカツビジネスルー増し頼んでキャベツを4回おかわりするブログ

"文学少女"と死にたがりの道化


ジャケ買いと言われたらもう、認めるしか無い!
最初に目にしたのはGilCrowsの映像技術研究所さんのところでした。
水彩っぽい絵と『本を食べちゃうほど本が好きな文学少女が主人公の物語』という文句でなんだか気になっていたところ、たまたま紀伊国屋にどっさりあったので全巻購入。本は木になったら即買え!がもっとうなんで。


なんといいますか、挿絵の威力が12分に発揮された良作。
主人公の心葉(男)は中学生のときに天才美少女作家としてデビュー。でもいろいろに耐えられなくて潰れてしまって……
現在は平々凡々とした高校生。
ヒロインの遠子先輩(女)は「文学少女」。物語を食べちゃう(文字通り、紙をちぎってむしゃむしゃ食べちゃう!)くらい物語が好きな女の子。三つ編みがgood。かわゆい。
二人は文芸部員で、そこに事件が舞い込んでくるーーーというありふれた展開。


多分、このお話、中学生くらいには恐ろしく読みやすい。ドキドキハラハラ。途中途中に挟まれる過去の名作の名前なんかをみて他の本にも興味がそそられる。
ただ、大人にとってはちょっと物足りないかな? 王道すぎて、いろいろ読んでる大人にはちょっと目新しさがない……



僕が特別評価したいのは挿絵の巧みさだ。
自分の見解だと、挿絵がついていて主に10代向けに書かれている、漫画的な本=ライトノベルという認識。
ただ、今まで自分が読んだライトノベル*1はぶっちゃけ、挿絵の必要性をあまり感じなかった。
確かに挿絵があることで、貧相な想像力を補いやすくはなっていたけれど、そんな物が不要な程度に文章が卓越していた。
……いや、違うな。文章からうけるイメージと挿絵に描かれているイメージに若干の齟齬が生じていた感じがする。
一方、この物語はどうだ。
全体的に、著者の表現力(特に人物の描写、背景の描写)は拙い。そのために、読者はあれやこれやと登場人物の容姿を想像するチャンスがある……と考えるのは間違いで、情報が少ないために登場人物の全体像が掴み難い。(遠子先輩の描写は長い三つ編み、ぺったんこの胸、すみれ色が好き程度だ)
だけど、この本はその足りない部分を上手に挿絵が補っている。
淡い色彩で描かれた線の細い美少女。いかにも大人しそうで、それでいてなんだか生き生きとしている。(そしてカワユイ)
このイメージが足りてない部分にぴったりきて、頭の中の遠子先輩のイメージをガッチリつくってしまっている。
そうなるのしめたもので、遠子先輩の一挙手一投足がもう全て萌えポイントなのだ。
ハァハァ=3


多分、計算されてこうなった訳じゃないのだろうけれど、本当に幸運な運命の出会いとしかいいようがない!
もう、これは、読み続けるぜ!
挿絵担当の竹岡美穂さんにも期待大!

*1:数えるほどしか無いから列挙してみる。「涼宮ハルヒシリーズ」「R.O.D.」「イリヤの空、UFOの夏」「マリア様がみてる」「戯言使いシリーズ」