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名称未定ドキュメント"Que"

hidesukeの読書感想文

夜のピクニック

読書

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)


他人にお勧めされて「うん、そのうち読む」てな感じで読んでない作品がいくつかあります。
夜のピクニックもその一つ。今回、読みたい本が尽きてしまったので手を出してみた。


実は大学の後輩が恩田陸と同じ高校出身で、この作品の舞台となっている歩行祭はリアルに経験&映画化のときエキストラとして歩いてきたとか言う話。
歩行祭というのは高校生達が(修学旅行の代わりに)夜を徹して80キロの行程を歩き通すというお話。
高校3年生の主人公達は今年で最後の歩行祭で思い入れも強い。
物語は融と貴子の二人の主人公の視点から描かれている。
同じクラスの二人は実は異母兄妹。融の父が貴子の母と不倫していたというわけだ。
融の父は既に他界している。が、融は貴子たち親子を憎んでいる……というかなんともやりきれない感情を抱いている。
3年生になって同じクラスにならなければずっと話さないままで過ぎていたかもしれない。
貴子は歩行祭でとある賭けをしてのぞんだ。本当に小さな賭け。
それは……(略)


てな感じの青春ストーリー。
いや、文句無しに面白かった。
いや、これタイトル上手だろ。
「夜のピクニック」と言っているが実際に夜の時間が占める割合はそんなに長くはない。それに夜は大事なキーワードではない。
でも、なんだか手に取ってしまう魔力がある。
お話も凄くよく練られている。
ただ、淡々と歩くだけの学校行事だけど、そこにはドラマがあり、生徒一人一人にそれぞれ何かしらの思惑がある。
おせっかいを焼くクラスメイトがいて、告白しようと暗躍する奴がいる。
お調子者がいい味だしてたり、あぁ、この話がここに繋がるのか……などなど無駄な要素がないところに作者の力を感じる。
読んでいて気持ちのよい作品でした。