- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/10/28
- メディア: 単行本
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森見登美彦の小説ばっかり最近よんでますが、いままで読んだ3作とまた違う感じ。
なんだか、静かで、頭をギュっと得体の知れない物に掴まれるような……そんな小説。
4つの短編から構成されていて、どれも闇である。
京都を舞台に骨董屋とケモノが物語の中心に常にいる。
このケモノがとても気味が悪い。
細長い胴をしていて、こちらをみてニヤと人間のような顔をして笑うという。
この描写がなんだか怖かった。
本当にケモノがそこにいて、実は僕は、すでにケモノが取り付いていて、ゆっくりと頭を締め付けているんではないか……というような感覚。
迫力は無い。ただただ静かで、不思議で、僕らのような京都を観光でしか知らない人達の京都のイメージがそれらにぴったりと絡まって、その魅力を倍増させている。
しずかな、恐怖。
でも決して後を引かない、すっきりとした清々しい恐ろしさだった。