- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/05/23
- メディア: 文庫
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久しぶりに長編小説を読み終わってなんだかやり遂げた感じです。
映画を観てから小説を読み始めたので、どうしても映画との比較になってしまうけど、正直な話、映画じゃなくてテレビシリーズとしてやってほしかったなぁ……。
こんなにも濃厚で、重たくて、少年少女に訴えかける内容の小説をたかだか2時間弱にまとめてしまうなんてもったいない!
是非、土曜日7時テレ朝とかでアニメ化してほしい。GONZO以外の制作会社で*1。
さて、小説の話。
この話のテーマは「善と悪」の二面性。これについて延々と描かれている作品。Amazonのレビューなんかみてると「もっと作者はファンタジーについて勉強してから書いてほしい」なんてスットコどっこいな感想を述べているライトノベラーがいましたが、このお話は舞台こそファンタジーですが、ジャンルはどう読んでも純文学。分かりやすく、面白く、エンターテイメントでありながらも純文学なのです。
現世の理不尽な運命を変えるために幻界(ビジョン)を旅する主人公ワタルが苦難を乗り越えて成長して行くストーリー。
その中で、自分の中にある「負のものたち」を受け止めて行く。
ワタルは悩み、苦しみ、自分の中の悪を拒絶しながら進んで行く。それとは対照的にワタルの友達であり、彼もまた不遇な運命を変えるために幻界を旅する旅人、ミツルは目的のためには手段を選ばない手法で多くの命を奪いながら旅を進めて行く。
この話のミソは、ヒトの中には「善」の部分もあれば「悪」の部分もある。
その「悪」の部分があることを認めて受け止めていかないと、何かしらほころびができるし、ヒトは強くなれないよ。というメッセージが込められていた。
読んでるときは、やっぱりエンターテイメント小説で面白いけれど心に訴えるものがないなぁ……とか思っていたけれど、けっきょくグッっときてしまった。家族愛とかにやっぱりよわいな……。
原作を読んだ上で、映画をみたらまた感想が変わるかもしれない。
もう一回映画みたいな、と思った。
まぁ、ブレイブストーリーもう一回観るくらいなら
時をかける少女
をあと5,6回観に行くな。確実に。
#時をかける少女のDVDは来年とのこと
*1:GONZOは確かに高い技術力とマーケティング力をもっているのだけど、他のところから原作を持ってくるといつもいつも尻すぼみで面白く無くなるという特徴がある。自社原作でもそうなんだけどね……。LAST EXILEとかめちゃんこ面白かったのに、中盤以降グダグダで中途半端だったしKiddy Gradeも面白かったには面白かったのだけどなんだか盛り上がりに欠けたし……。ガドガードもなぁ……。結局GONZO作品でも文句なしに面白かったのは[[青の6号]]と[[巌窟王]]の二つだけだな。